
書中とは、という言葉を手紙やメールの中で見かけて、「これってどういう意味なんだろう」と気になったことはありませんか。
とくに「書中をもちまして」という形で登場することが多く、なんとなく雰囲気で使っている方も少なくないはずです。ですが、いざ自分がお礼状やお詫びメールを書く場面になると、「メールでも使っていいのかな」「ハガキだと失礼にあたらないかな」と不安になってしまうものですよね。
この記事では、書中の読み方や意味はもちろん、メール・ハガキでの使用可否や、実際に使える例文、似た言葉である「書面」との違いまで、まとめて解説していきます。読み終える頃には、迷わず自信を持って使えるようになっているはずです。
書中とは?意味と読み方をわかりやすく解説
書中は「しょちゅう」と読み、書籍や文書、手紙文の中身を意味する言葉です。もう少しかみくだくと、「書かれている内容そのもの」や「文章の中に書いてある文句」を指しています。
たとえば「書中の趣旨、承知いたしました」という使い方をすると、「お手紙に書かれていた内容を理解しました」という意味になります。手紙そのものというより、その中に書かれている中身を指す言葉だと考えるとわかりやすいでしょう。
なお、書中は同じ読み方をする「暑中」と混同されやすいので注意が必要です。暑中は夏の暑い時期を指す言葉で、意味はまったく異なります。「暑中見舞い」と「書中をもちまして」を書き間違えてしまうと、せっかくの丁寧な文章が台無しになってしまうこともあるため、変換時には気をつけたいところです。
書中はメールやハガキにも使える?媒体別の使用可否
結論からお伝えすると、書中は封書に限らず、ハガキやメールでも使うことができます。
書中はもともと「書籍・文書・手紙文の中」という意味で、特定の媒体を限定する言葉ではありません。そのため、文字で伝えるものであれば、封書はもちろん、ハガキやメールにも問題なく使える表現です。
ただし、媒体によって少し気をつけたいポイントがあります。
ハガキで使う場合
ハガキは文面が誰の目にも触れる状態で届くため、第三者に見られても差し支えない内容にとどめておくのが安心です。「略儀ながら書中にて」のように、あらたまった結びの言葉としてそのまま使うことができます。
メールで使う場合
メールで使う際は「書中をもちまして」をそのまま使っても間違いではありませんが、「まずはメールをもちまして」と言い換えると、より自然な印象になります。相手や場面によって、どちらの表現がしっくりくるか選んでみるとよいでしょう。
「書中をもちまして」の意味と使うべき場面
「書中をもちまして」は、「文章という手段で」「とりあえず書面という形で」という意味を持つ表現です。「まずは略儀ながら」といった言葉と一緒に使われることが多く、本来であれば直接会って伝えるべきところを、書面という形で簡単に済ませることへの、ちょっとした恐縮の気持ちが込められています。
使うのに適した場面は、次のようなケースです。
- 取引先やお客様へのお礼状
- 季節の挨拶状(お歳暮のお礼など)
- ちょっとしたお詫びの文書
- 内定など、フォーマルな場でのお礼状
一方で、使うべきではない場面もあります。たとえば、お客様への大きなミスに対するお詫びや、目上の方への深い感謝の気持ちを伝えたいときなど、本来なら直接足を運んで伝えるべき重要な用件には不向きです。「まずは書面で済ませておこう」という軽さが伝わってしまい、かえって誠意が欠けた印象を与えかねません。
つまり「書中をもちまして」は、書面での対応で問題ない、比較的軽めの用件に使う表現だと覚えておくとよいでしょう。
「書中をもちまして」を使った例文集
実際にどんな場面で使えるのか、シーン別に例文を紹介します。そのまま使える形にしてあるので、状況に合わせて言葉を入れ替えてみてください。
お礼を伝えるとき
このたびは結構なお品をいただき、書中をもちましてお礼申し上げます。
先日はご丁寧なご対応をいただき、まずは書中をもちましてお礼まで申し上げます。
お詫びを伝えるとき
このたびはご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございませんでした。略儀ながら書中をもちましてお詫び申し上げます。
挨拶状として
まずは略儀ながら、書中をもちましてご挨拶申し上げます。
退任・異動の挨拶として
略儀ではございますが、書中をもちまして退任のご挨拶とさせていただきます。
いずれの例文も、「まずは」「略儀ながら」といった言葉を添えることで、より丁寧で控えめな印象になります。相手との関係性や場面の重みに応じて、言葉を足したり引いたりしながら調整してみてください。
「書中」と「書面」の違い
書中とよく似た言葉に「書面」がありますが、実はこの2つ、意味の範囲が微妙に異なります。
書中は、あくまで「書かれている内容そのもの」を指す言葉です。一方の書面は、書かれている内容だけでなく、手紙や文書そのものまで含む、より広い意味を持っています。
たとえば「書面で明示しなければならない」という文の書面は、「文書という形そのもの」を指しているため、これを書中に置き換えることはできません。反対に「書面から察するに」のように、書かれている中身について触れている場合は、書中に言い換えても意味が通じます。
使い分けに迷ったときの目安は、次のとおりです。
- 書かれている内容・文言について話したいとき → 書中でも書面でもどちらも使える
- 文書や手紙そのものについて話したいとき → 書面を使う
日常的には混同して使われることも多い2つの言葉ですが、正確に使い分けられると、文章全体の印象がぐっと引き締まります。
まとめ
書中は「しょちゅう」と読み、書籍や手紙、文書に書かれている内容を意味する言葉です。封書だけでなく、ハガキやメールでも使うことができ、「書中をもちまして」という形でお礼状やお詫び状、挨拶状など、幅広い場面で活用されています。
ただし、重大なお詫びや目上の方への直接的な感謝を伝えたい場面には向いていないため、用件の重さに応じて使い分けることが大切です。また、「書面」との違いを理解しておくと、より正確で丁寧な文章が書けるようになります。
今回紹介した例文を参考に、シーンに合わせて自然に使いこなしてみてください。
