
メールや会話の中で、「お忙しいご様子とお見受けしました」と気づかいの言葉を伝えたくなること、ありますよね。ところが、いざ使おうとすると「目上の方に使って失礼にならないかな?」「上から目線に聞こえないかな?」と、手が止まってしまう方も多いようです。
先にお伝えすると、「お見受けしました」は正しい謙譲語で、上司や取引先といった目上の方にも使えます。ただし、相手を見て判断したことを伝える言葉なので、使い方にちょっとしたコツがあります。
この記事では、意味や例文、失礼に聞こえないための注意点、言い換え表現までをやさしく解説します。読み終わるころには、自信を持って使えるようになりますよ。
「お見受けしました」の意味|見て判断したことを丁寧に伝える言葉
「お見受けしました」は、「おみうけしました」と読みます。もとになっているのは「見受ける」という言葉で、目にした様子から「こうだな」と感じ取ったり、判断したりするという意味です。「〜のように見える」「〜という印象を受ける」と言い換えると、イメージしやすいでしょう。
この「見受ける」に「お〜する」の形がついて、へりくだった丁寧な言い方になったのが「お見受けする」です。「お見受けしました」は、その過去の形にあたります。
たとえば「お元気そうにお見受けしました」なら、「目にしたご様子から、お元気そうだなと感じました」という意味になります。見たものと、そこから感じたことの2つがセットになっているのが特徴です。
なお、書類や提案を見て「確認しました」「受け取りました」と伝える言葉ではありません。あくまで、相手の様子や状況から受けた印象や推察を伝える表現です。
「お見受けしました」は正しい敬語?目上・上司にも使えます
「お見受けする」は、辞書でも「見受ける」の謙譲語とされていて、敬語として誤りではありません。
謙譲語とは、自分の行為をへりくだって表し、相手を立てる言い方です。「お見受けしました」が伝えているのは、「私が相手の様子を見て、そう感じました」ということ。動作の主役は自分なので、謙譲語がぴったり合うのです。
「目上の人に『見て判断した』と言うのは、偉そうではないかな?」と心配になるかもしれません。ですが、言葉の形としては自分をへりくだる表現なので、相手を選ぶ必要はありません。上司や先輩、取引先、お客様など、目上の方にも使えますし、社内でも社外でも同じです。
より改まった場面では、「お見受けいたしました」と言っても構いません。「いたす」は「する」の謙譲語で、どちらも正しい表現です。ただ、「お見受けいたしました」はやや堅い印象になるので、ふだんのやりとりなら「お見受けしました」で十分です。
基本の使い方と例文|メール・対面・電話
使い方の型は、大きく2つです。
「〜とお見受けしました」
見て感じたことを、そのまま伝える言い方です。
「お見受けしたところ、〜」
見た様子を前置きにして、その先の話につなげる言い方です。
「しました」と過去の形になるのは、見て感じ取ったことを、すでにわかったこととして伝えるからです。目の前の様子をその場で述べるときは、「お見受けします」と言っても自然です。
メール
先日お目にかかった際、お変わりなくお過ごしのご様子とお見受けしました。
対面
その資料に関心をお持ちのようにお見受けしました。よろしければ、詳しくご説明いたします。
電話
先日の展示会でご熱心にご覧になっていたご様子をお見受けし、お電話いたしました。
電話では相手の様子が見えないため、以前お会いしたときに目にしたことを話題にすると自然です。
「お見受けしましたが」「お見受けしましたので」の続け方
「お見受けしました」のあとに言葉を続けるときは、「が」と「ので」がよく使われます。
「お見受けしましたが」
見て感じたことを前置きにして、確認やお願いにつなげるときに使います。
お忙しそうにお見受けしましたが、少しだけお時間をいただけますでしょうか。
見た印象をふまえて、様子をたずねるときにも使えます。
体調が戻られたようにお見受けしましたが、その後の具合はいかがでしょうか。
「お見受けしましたので」
見て感じたことを、行動の理由として伝えるときに使います。
お急ぎのご様子とお見受けしましたので、要点だけお伝えいたします。
続きを長くつなげると、「が」が何度も出てきて読みにくくなりがちです。見て感じたことは一度で言い切り、本題は別の文にすると、すっきり伝わります。
読みにくい例
お忙しそうにお見受けしましたが、先日の件でご確認いただきたいのですが、お時間はございますか。
整えた例
お忙しそうにお見受けしました。先日の件でご確認いただきたいのですが、お時間はございますか。
失礼に聞こえない使い方|上から目線になるNG例とOK例
「お見受けしました」は、見て判断したことを伝える言葉です。そのため、判断の中身が相手への評価になると、採点しているように聞こえて、上から目線に響くことがあります。目安は、相手の様子や雰囲気は伝えてよい、能力や内面は決めつけない、という考え方です。
NG例:能力や人柄を評価する
大変ご優秀な方とお見受けしました。
ほめるつもりでも、「私が見て判定しました」という形になってしまいます。
NG例:内心を決めつける
今回のご提案に、ご不満をお持ちのようにお見受けしました。
相手の気持ちを断定していて、反論しにくい空気をつくってしまいます。
OK例:様子を気づかう
少しお疲れのご様子とお見受けしました。お体の調子はいかがでしょうか。
OK例:雰囲気を好意的に伝える
皆さまと和やかにお話しされているご様子をお見受けしました。
内心に触れる必要があるときは、断定を避けて、相手が答えるかどうかを選べる形にします。
何かお悩みのようにお見受けしましたが、差し支えなければお聞かせください。
「〜のように」でやわらげ、「差し支えなければ」で確認の余地を残すのがコツです。
「お見受けしました」の言い換え・類語と使い分け
「お見受けしました」の言い換えは、何を伝えたいかによって選びます。
| 表現 | ニュアンス | 例 |
|---|---|---|
| 拝見しました | 物や書類、作品などを実際に見た | 資料を拝見しました。 |
| 拝察いたします | 見た目に限らず、相手の気持ちや事情を推し量った | ご多忙のことと拝察いたします。 |
| お察しします | 相手の気持ちを思いやる | お気持ちをお察しします。 |
| お見かけしました | 偶然目にした事実だけを伝える | 先日、駅でお見かけしました。 |
「お見受けしました」は、見た様子から判断するところまでを含みます。一方、「拝見しました」は見ること自体を表すので、書類や資料を見たときは「拝見しました」を選びましょう。
また、「お見かけしました」には判断が含まれません。見かけたという事実だけを伝えるときに使い、様子から感じたことまで伝えたいときは「お見受けしました」を選びます。
もうひとつ、よく似た言葉に「見受けられます」があります。こちらは、報告書などで事実や傾向を客観的に述べるときの表現です。自分が相手の様子を見て感じたことを伝える「お見受けしました」とは、使う場面が違います。詳しくは、「見受けられる」は失礼?意味・敬語・使い方をビジネス目線で解説の記事で紹介しています。
まとめ
「お見受けしました」は、相手の様子を見て感じたことを、丁寧に伝えられる便利な言葉です。使うときは、能力や気持ちを決めつけず、様子や雰囲気を「〜のように」とやわらかく伝えるのがポイントです。
書類を見たときは「拝見」、見かけた事実だけなら「お見かけ」と、伝えたい内容に合わせて選び分けてみてください。気づかいの一言として、ぜひ使ってみてくださいね。

