
仕事がひと区切りついたとき、同僚や部下に「諸々ありがとうございます」と声をかけたことはありませんか?
手軽で使いやすい言葉ですが、いざ上司や取引先に使おうとすると、「ざっくりしすぎて失礼かも…」と手が止まってしまう方も多いと思います。
先にお伝えすると、同僚や部下など気軽な相手には問題なく使えますが、上司や取引先には避けたほうが無難です。理由は、何に対するお礼なのかが相手に伝わりにくいからです。
この記事では、意味や使いどころから、相手別の使い分け、目上の方にも安心して送れる言い換えまでを、やさしくお話しします。
「諸々ありがとうございます」の意味
「諸々」は「もろもろ」と読み、「いろいろなこと」「さまざまな物事」という意味の言葉です。
つまり「諸々ありがとうございます」は、いろいろなことをまとめて感謝する言い方です。資料の準備、日程の調整、連絡の取りまとめなど、ひとつずつお礼を言うと長くなってしまうときに、「全部ひっくるめてありがとう」という気持ちをひと言で伝えられます。
たとえば、急ぎの対応が続いた週の終わりに、手伝ってくれた同僚へこんなふうに声をかけます。
今週は急ぎの対応が続きましたが、諸々ありがとうございます。
お礼の中身をひとつずつ挙げない分、肩の力が抜けた、やわらかい響きになるのが特徴です。手軽に感謝を伝えられるので、日々のやりとりでつい使いたくなる言葉なのですね。
ビジネスでの使いどころ
「諸々ありがとうございます」が活躍するのは、お礼を言いたいことが複数あって、ひとつずつ挙げるほどではない場面です。
向いているのは、たとえば次のような場面です。
- 作業やプロジェクトがひと区切りついたとき
- 何度かやりとりを重ねた案件が終わったとき
- メールやチャットの結びに、感謝をひと言添えたいとき
反対に、ひとつの件で特別に助けてもらったときには向きません。大きな助けを受けたのに「諸々」でまとめてしまうと、気持ちが軽く伝わってしまうからです。
実際の使い方を、場面ごとに見てみましょう。
社内チャット
お疲れさまです。今日は諸々ありがとうございます。助かりました。
メールの結び
ひとまず作業は完了しました。今回は諸々ありがとうございます。
口頭
今日は一日、諸々ありがとうございます。お先に失礼します。
敬語として正しい?目上に使っても失礼?
まず、言葉づかいとして間違いかどうかですが、「ございます」は丁寧語なので、敬語として間違いではありません。「ありがとうございます」の形ですから、文法の面では問題ないのです。
気をつけたいのは、「諸々」が「いろいろ」に近い、ざっくりした言い方だという点です。相手を立てる言葉が入らず、お礼の中身もぼかしているため、目上の方にはどうしてもざっくりとした、雑な印象を与えやすくなります。失礼と言い切れるほどではなくても、丁寧に感謝を伝えたい相手には、物足りなく映ることがあります。
相手別の目安は、次のとおりです。
| 相手 | 使えるか | 理由 |
|---|---|---|
| 部下・同僚 | ◎ 問題なく使えます | 気軽なお礼として自然に伝わります |
| 上司・先輩 | △ 避けるのが無難です | 親しい間柄なら許されることもありますが、人によっては雑に感じます |
| 取引先・お客様 | × 避けましょう | 社外の方へのお礼としては、ざっくりしすぎて誠意が伝わりにくくなります |
目上や取引先に伝えるときの言い換えと具体化のコツ
上司や取引先には、「諸々」を具体的な内容に置き換えるのが、いちばん手軽で効果的です。何に対するお礼なのかが見えると、相手は「しっかり見てくれていた」と感じられるからです。
型はとてもシンプルです。
〇〇や△△について、ご対応いただきありがとうございます。
ポイントは、「いただき」の形にして、相手の行動を立てることです。「やってくれて」ではなく「ご対応いただき」「ご配慮いただき」と言うだけで、ぐっと丁寧な印象になります。
すべてを挙げる必要はありません。代表的なことを1〜2つ挙げて、残りは「など」や「何かと」でまとめると、長くなりすぎずに気持ちが伝わります。
| 場面 | 言い換え例 |
|---|---|
| 上司へ・作業が一段落したとき | 資料のご確認や進め方のご助言をいただき、ありがとうございます。 |
| 取引先へ・打ち合わせのあと | 日程のご調整や資料のご準備など、ご対応いただき誠にありがとうございます。 |
| 取引先へ・何度もやりとりした案件 | 何かとお力添えいただき、誠にありがとうございます。 |
まとめ
「諸々ありがとうございます」は、いろいろなことをまとめて感謝できる、気軽で使いやすい言葉です。部下や同僚には、安心して使えます。
一方で、上司や取引先には、何に対するお礼なのかが伝わりにくいため、「ご対応いただき」のように相手を立てながら、感謝の中身をひとつ添えるのがおすすめです。ほんのひと言足すだけで、同じ感謝でも伝わり方が変わります。
相手との距離に合わせて、気持ちよく言葉を選んでみてくださいね。

