
「心労が絶えない」という言葉、耳にしたことはあっても、いざ自分で使うとなると迷いませんか。
「自分のことに使うと大げさかな」
「相手に言ったら失礼にならないかな」
そんなふうに手が止まってしまう方は少なくありません。少し硬くて重みのある言葉だからこそ、使いどころを間違えたくないですよね。
先にお伝えすると、「心労が絶えない」は、ビジネスの場でも使える言葉です。 ただし、自分のことなのか、身近な人のことなのか、目上の相手に向けてなのかによって、ふさわしい言い方が変わります。
この記事では、意味と読み方から、誰にどう使えばよいか、そのまま使える例文、場面に合わせて選べる言い換え表現まで、順番にご紹介します。読み終わる頃には、迷わずこの言葉を選べるようになりますよ。
「心労が絶えない」の意味と読み方
「心労が絶えない」は、「しんろうがたえない」と読みます。
まず「心労」は、あれこれと心配して心を使うこと、またそれによる精神的な疲れを指す言葉です。体の疲れではなく、心の疲れのことですね。
そこに「絶えない」がつくと、途切れることなく続くという意味が加わります。つまり「心労が絶えない」とは、心配事や気苦労が次から次へと続いて、心が休まる暇がない状態を表しています。
ここで押さえておきたいのは、ただの「心配」や「気疲れ」よりも重い響きがあることです。「ちょっと気になることがある」くらいの軽さではなく、心の疲れが長く続いているときに使う言葉だと考えてください。
また、日常のおしゃべりよりも、文章や改まった場面で使われることが多い言葉でもあります。
自分や身近な人のことに使っていい?
結論から言うと、自分や身近な人のことに使っても問題ありません。 ただ、自分に使うと大げさに聞こえやすいので、使いどころを選ぶのがコツです。
使いやすいのは、状況が長く続いているときです。たとえば、終わりの見えないプロジェクトや慢性的な人手不足など、気の休まらない状態が続いている場面ですね。上司や信頼できる同僚に事情を打ち明けるときに向いています。部下や同僚の大変さを、第三者として話すときにも自然に使えます。
反対に、一時的な忙しさや軽い愚痴には向きません。「今週は立て込んでいて」くらいの話に使うと、言葉だけが重たくなってしまいます。その場合は、もう少し軽い言葉を選ぶほうが伝わりやすいでしょう。
自分について話すとき
新しいプロジェクトが長引いていて、正直なところ心労が絶えない日々です。
人手が足りない状態が続いており、心労が絶えない状況です。
身近な人について話すとき
後輩の〇〇さんは、初めての担当業務で心労が絶えないようです。
同じチームの〇〇さんは、クレーム対応が続いて心労が絶えないようです。
相手(目上・取引先)に使うときは「ご」と一言添えて
目上の方や取引先を気遣うときは、「ご心労」と「ご」をつけた形にします。ここで気をつけたいのが、言い切り方です。「ご心労が絶えませんね」と断定すると、相手の気持ちを決めつけているように聞こえることがあります。そこでおすすめなのが、「ご心労が絶えないことと存じますが」のように、推し量る形にすることです。「心労が絶えないと思いますが」と言いたいときも、この形に整えるとていねいです。
使うのは、状況が長く続いている相手に対してが自然です。
異動後の相手に
新しい部署でのご心労が絶えないことと存じますが、どうぞご自愛ください。
対応が長引いている取引先に
長期にわたる対応で、ご心労が絶えないことと存じます。何かお力になれることがございましたら、お申し付けください。
上司に
プロジェクトが長引き、ご心労が絶えないことと存じますが、どうかご無理なさらないでください。
結びに「ご自愛ください」を添えるなら、「どうぞご自愛ください」だけで十分です。「お体をご自愛ください」は重複と感じる人もいるため、シンプルにしておくと安心です。
なお、目上の方について第三者に話すときも、「ご心労が絶えないご様子です」のように「ご」をつけます。
「心労が絶えない」の言い換え表現
「心労が絶えない」がしっくりこないときは、自分のことか相手のことか、話す相手との距離に合わせて言い換えてみましょう。
| 言い換え | ニュアンス | 向く場面 |
|---|---|---|
| 気苦労が絶えない | あれこれ気を使って疲れる | 自分のこと・同僚との会話 |
| 気が休まらない | 心配事で落ち着けない | 自分のこと・気軽な相談 |
| 悩みが尽きない | 次々に悩みが出てくる | 自分のこと・同僚との会話 |
| 心労が重なっている | 疲れが積み重なっている | 自分のこと・上司への報告や面談 |
| ご心労が重なっていることと存じます | 相手の疲れを推し量る | 目上・取引先へのメール |
| ご心労の多い日々かと存じます | 日々の大変さを気遣う | 目上・取引先へのメール |
自分のことを話すときは、同僚や気心の知れた相手には軽めの言葉、上司への報告や面談では少し改まった形、と使い分けると自然です。
まとめ
「心労が絶えない」は、心配事や気苦労が続いて心が休まらない状態を表す言葉です。自分に使うときは、長く続く状況に絞ると大げさになりません。身近な人には自然に使え、目上の方には「ご心労が絶えないことと存じますが」の形で気遣いを伝えられます。
相手の大変さを思いやる言い方については、「ご心労お察しします」は失礼?目上の人への使い方と場面別例文の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

