
商談の帰り際や来客対応のあと、「〇〇部長にもよろしくお伝えください」と言われた経験がある方は多いのではないでしょうか。反対に、自分からこのフレーズを使う場面になると、「この言い方で合っているのかな」「目上の方に使っても失礼にならないかな」と迷ってしまうこともあると思います。
この記事では、「よろしくお伝えください」を自分から使う場面に絞って、意味や敬語としての正しさ、シーン別の例文、言い換え表現までわかりやすく解説します。読み終わる頃には、自信を持ってこのフレーズを使えるようになるはずです。
なお、「よろしくお伝えください」と言われた側がどう返事をすればよいかについては、別の記事で詳しく解説していますので、そちらもあわせてご覧ください。
「よろしくお伝えください」の意味とは
「よろしくお伝えください」とは、その場にいない第三者に対して、自分の気持ちを相手を通じて伝えてもらうときに使う言葉です。たとえば取引先を訪問した際、対応してくれた方に「部長にもよろしくお伝えください」と言うと、「直接ご挨拶できませんでしたが、気にかけていたことをお伝えください」という意味になります。
ポイントは「よろしく」という言葉の懐の深さです。何をどう伝えるかを具体的に指定せず、相手の判断に委ねるというニュアンスが含まれています。そのため、感謝の気持ちでも、挨拶代わりの一言でも、幅広い場面で使える便利な表現になっています。
一方で、内容を相手に委ねる分、確実に伝わるとは限らない側面もあります。重要な用件であれば、伝えたい内容を具体的に添えるとより安心です。
「よろしくお伝えください」は正しい敬語?目上や上司に使っても失礼にならない?
結論から言うと、「よろしくお伝えください」は文法的に正しい敬語表現です。「伝える」に尊敬の意味を持つ「お」を付け、「〜ください」という依頼の形にしているため、目の前の相手に対する尊敬語として成立しています。上司や取引先に使っても、敬語としての誤りはありません。
では、なぜ「目上に使いにくい」と感じる方がいるのでしょうか。これは、伝えてほしい第三者が、目の前の相手よりもさらに立場が上のケースで起こりやすい違和感です。たとえば取引先の担当者に対して、その会社の社長への伝言を頼むような場面では、目上の方に取り次ぎの労を取らせることになり、恐縮に感じる方もいます。
そのため、第三者が目の前の相手と同等か、それより立場が下の場合(家族や部下など)であれば、そのまま使って問題ありません。第三者の立場がさらに高い場合は、「よろしくお伝えいただけますと幸いです」など、より柔らかい依頼の形にすると安心です。
シーン別の使い方・例文(挨拶・お礼・謝罪・カジュアルな相手)
「よろしくお伝えください」は、場面によって少しずつニュアンスを変えて使うことができます。ここでは、よく使われる4つのシーンをご紹介します。
挨拶として使う場合
訪問後や別れ際の一言として使うのが最も一般的です。
本日はお時間をいただきありがとうございました。皆様にもよろしくお伝えください。
感謝の気持ちを伝える場合
直接お礼を言えなかった相手への感謝を託すときに使います。
先日は〇〇様に大変お世話になりました。くれぐれもよろしくお伝えください。
のように、「くれぐれも」を添えると気持ちの強さが伝わります。
謝罪の気持ちを伝える場合
ご迷惑をおかけした相手にも使えます。
ご心配をおかけし申し訳ございませんでした。〇〇様にもよろしくお伝えください。
カジュアルな相手に使う場合
友人や家族など、親しい間柄では砕けた言い方でも自然です。
〇〇さんによろしく伝えておいて。
のように、「ください」を省いた言い方も使われます。
より丁寧に/よりカジュアルに伝えたいときの言い換え表現
「よろしくお伝えください」は使い勝手のよい表現ですが、相手や場面に応じて言い換えると、より気持ちが伝わりやすくなります。丁寧度別に整理しました。
| 丁寧度 | 表現 | 使う場面 |
|---|---|---|
| より丁寧 | よろしくお伝えいただけますと幸いです | 目上の方への依頼を柔らかくしたいとき |
| より丁寧 | よろしくお伝えくださいますようお願いいたします | 改まった文書やメールの結び |
| やや格式高い | よしなにお伝えください | 目上への挨拶で少し古風な印象を添えたいとき |
| 標準 | よろしくお伝えください/よろしくお伝えくださいませ | 通常のビジネスシーン全般 |
| カジュアル | 〜さんによろしく伝えておいて | 友人や家族などの親しい間柄 |
「よろしくお伝えいただけますと幸いです」は、依頼のニュアンスをやわらげたいときに特に便利な表現です。特にかしこまった相手や重要な取引先へのメールでは、この言い換えを選ぶと安心です。
まとめ
「よろしくお伝えください」は、その場にいない第三者へ気持ちを託す、便利な敬語表現です。文法的には正しい尊敬語のため、目上の方に使っても基本的に問題ありません。気になる場合は、伝えてほしい相手の立場に応じて「よろしくお伝えいただけますと幸いです」などに言い換えると、より丁寧な印象になります。挨拶やお礼、謝罪など場面に合わせて使い分け、相手への配慮をさりげなく届けてみてください。

