
「頼りにさせていただきます」って、目上の人に使っても大丈夫なのかな、と迷ったことはありませんか。
丁寧に伝えたいからこそ使う言葉なのに、実は「これって敬語として合ってる?」と不安になる方が多い表現でもあります。
この記事では、「頼りにさせていただきます」が正しい敬語なのかどうかを最初にはっきりお伝えしたうえで、使う場面ごとの注意点や例文まで、まとめてご紹介していきます。
「頼りにさせていただきます」は正しい敬語?結論からお伝えします
結論から言うと、「頼りにさせていただきます」は文法的に誤りのある敬語ではありません。
「頼りにする」という言葉に、謙譲表現の「させていただきます」を組み合わせた形で、相手に敬意を払いながら自分の気持ちを伝える言い方として成立しています。
ただし、注意しておきたいポイントがあります。
「させていただきます」は、本来相手の許可を得て行う動作に使う表現という点です。
たとえば「頼らせてください」とお願いして、相手が了承してくれたうえで「頼らせていただきます」と伝えるなら、とても自然な流れになります。
一方で、特に許可を求めるやり取りがないまま、あいさつや結びの言葉として何気なく使う場合は、少し丁寧すぎる印象を与えることもあります。
とはいえ、これは「間違い」というより「使い方の相性」の問題です。場面を選べば、相手への敬意がしっかり伝わる、頼りになる表現だと言えるでしょう。
「頼りにさせていただきます」の意味とニュアンス
「頼りにさせていただきます」は、シンプルに言うと「あなたを頼りにしています」という気持ちを、より丁寧に伝えるための表現です。
「頼りにする」には、相手の力や知識、経験などをあてにして、助けを借りたいという意味が含まれています。
そこに「させていただきます」がつくことで、単なる期待の表明ではなく、相手の存在があってこそ成り立つ気持ちであることを、へりくだった形で示すニュアンスが加わります。
たとえば新しいプロジェクトを任されたときや、経験の浅い分野を担当することになったときなど、相手の知識や経験を頼りにしたい場面でよく使われる表現です。
単に「よろしくお願いします」と伝えるよりも、相手の存在や力を具体的に頼りにしているという気持ちが伝わりやすい言葉だと言えるでしょう。
使うときに気をつけたい注意点
「させていただきます」を使う際に意識しておきたいのが、もうひとつの条件です。それは、相手から何らかの恩恵を受けているという事実や気持ちがあることです。
先ほど触れた「相手の許可を得ている」という条件とあわせて、この2つがそろっていると、より自然な敬語として受け取ってもらいやすくなります。
一方で、こうした背景がとくにない場面、たとえば単なるあいさつや締めの言葉として使う場合は、少し丁寧すぎる、あるいは形式的な印象を与えることもあります。
また、一つのメールや会話の中で「させていただきます」を何度も重ねて使うと、文章全体が重たくなり、かえって読みづらくなってしまうこともあります。
「頼りにさせていただきます」自体は問題のない表現ですが、使う頻度や場面には気を配っておくと安心です。
目上の人・上司に使うときのポイントと例文
目上の人や上司に対して使う場合は、相手の経験や判断力を頼りにしているという気持ちが伝わるよう、具体的な状況とあわせて伝えると、より丁寧な印象になります。
上司への例文
初めて担当する業務ですので、〇〇部長のご経験を頼りにさせていただきます。
先輩社員への例文(目上として)
経験の少ない私にとって、〇〇さんのアドバイスを頼りにさせていただきます。
取引先の担当者への例文
今回のプロジェクトでは、御社のノウハウを頼りにさせていただきます。
いずれの例文も、何を・誰の力を頼りにしているのかを具体的に添えることで、単なる形式的なあいさつではなく、相手への敬意がしっかり伝わる文章になります。
先輩・同僚に使うときの例文
先輩や同僚に対して使う場合は、上司ほどかしこまった言い回しにしなくても、十分に丁寧な印象を与えられます。日頃の距離感に合わせて、少し柔らかい表現を選ぶのもおすすめです。
先輩への例文
この案件は初めての経験が多いので、〇〇さんの知識を頼りにさせていただきます。
同僚への例文
一緒に進めていくうえで、〇〇さんの得意分野を頼りにさせていただきます。
チームメンバーへの例文
今回のプロジェクトでは、皆さんの力を頼りにさせていただきます。
上司や取引先へ使う場合と比べて、相手との関係性が近い分、あいさつ的なニュアンスで使っても違和感が出にくいのが特徴です。ただし、あまりに頻繁に使うと形式的に感じられることもあるため、ここぞという場面で使うと効果的です。
丁寧度別の言い換え表現
「頼りにさせていただきます」以外にも、丁寧さのレベルに応じて選べる言い換え表現がいくつかあります。相手との関係性や文章の格式に合わせて使い分けてみましょう。
| 表現 | 特徴 |
|---|---|
| 頼りにしております | 「させていただきます」よりも自然に使いやすく、幅広い場面で活躍する表現。許可や恩恵の背景がないあいさつ的な場面ではこちらの方がすっきり伝わる |
| お力添えをいただきたく存じます | 相手に協力や支援を求めるニュアンスが強い表現。これから何かをお願いしたい段階で使いやすい |
| ご指導のほどよろしくお願いいたします | 相手からの助言や教えを求める気持ちを込めたいときに向いている。新しい業務を任されたときの結びの言葉としても自然 |
| 心強く思っております | 相手の存在自体をありがたく感じている気持ちを控えめに伝えられる表現 |
迷ったときは、「頼りにしております」を基本形として覚えておき、場面に応じて他の表現を組み合わせると、文章に幅が出ます。
シーン別メール例文
実際のビジネスメールで使える例文を、シーン別にご紹介します。
新しい業務を任されたとき(上司宛て)
件名:〇〇業務の担当について
〇〇部長
このたびは〇〇業務をご担当させていただくこととなり、ありがとうございます。初めての業務で至らない点も多いかと存じますが、〇〇部長のご経験を頼りにさせていただきますので、ご指導のほどよろしくお願いいたします。
共同プロジェクトの開始時(取引先宛て)
件名:〇〇プロジェクトのご協力について
〇〇株式会社 〇〇様
このたびは〇〇プロジェクトにてご一緒させていただけること、大変嬉しく思っております。御社の豊富なノウハウを頼りにさせていただきますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
異動・着任のあいさつ(社内宛て)
件名:着任のごあいさつ
〇〇課の皆様
このたび〇〇部へ異動となりました、〇〇と申します。不慣れな点も多くございますので、皆様のお力を頼りにさせていただきます。今後ともご指導のほど、よろしくお願いいたします。
いずれの例文も、頼りにしたい相手や理由を具体的に添えることで、形式的なあいさつにとどまらない、気持ちの伝わる文章になります。
まとめ
「頼りにさせていただきます」は間違った敬語ではなく、相手への敬意をしっかり伝えられる表現です。ただし、使う頻度や場面には気を配ることが大切です。上司や取引先には具体的な理由を添えて、先輩や同僚には少し柔らかく、相手との関係性に合わせて使い分けてみてください。

