
上司や取引先から「ぜひ君に任せたい」と声をかけられたとき、「光栄に思います」と返したくなる場面はありませんか。うれしい気持ちを伝えたいけれど、「目上の方に使って失礼にならないかな」「大げさに聞こえないかな」と、口に出す直前で迷ってしまう方も多いと思います。
結論からお伝えすると、「光栄に思います」は、上司や取引先にも問題なく使えるやわらかく丁寧な言い方です。ただ、使う相手や場面によっては、より合う言い方もあります。
この記事では、「光栄に思います」の意味から、使える場面と例文、敬語としての考え方、言い換えまでをやさしくご紹介します。読み終えるころには、自信をもって使い分けられるようになりますよ。
「光栄に思います」の意味|誇らしい気持ちを控えめに伝える言葉
「光栄」は「こうえい」と読み、名誉に思うこと、誇らしく思うことを表す言葉です。評価されたり、大切な役目を任されたりしたときに、「自分にはもったいないほど、ありがたいことだ」という気持ちを込めて使います。
「うれしい」とよく似ていますが、少しニュアンスが違います。「うれしい」が自分の喜びを素直に表すのに対して、「光栄」には相手が認めてくれたこと、声をかけてくれたことへの敬意がこもっています。ビジネスの場で、気持ちを品よく伝えたいときに使いやすい言葉です。
そこに「思います」が付いた「光栄に思います」は、「光栄だ」と言い切るよりも、自分の気持ちをそっと差し出すような、控えめな印象になります。押しつけがましくならず、上品に響くのが魅力です。
ビジネスで「光栄に思います」を使う場面と例文
「光栄に思います」がぴったり合うのは、相手から評価や信頼を寄せられたときです。ビジネスでよくある3つの場面を、例文つきで見ていきましょう。
仕事ぶりを評価されたとき
そのようにご評価いただき、大変光栄に思います。
大切な役割や登壇を任されたとき
このような大役にご指名いただき、大変光栄に思います。
お声がけや依頼をいただいたとき
このたびはご依頼をいただき、誠に光栄に思います。
お声がけの中でも、パーティーや会食への招待については、「お招きいただきありがとうございます」の使い方でくわしく解説しています。
どの場面でも、「感謝 → 光栄に思います → 意気込み」の順に続けると、気持ちがきれいに伝わります。
ご評価いただき、ありがとうございます。大変光栄に思います。今後もご期待に添えるよう、精一杯努めてまいります。
「光栄に思います」は敬語?上司・取引先に使っていい?
「光栄に思います」は丁寧語にあたる表現で、上司や取引先に使っても失礼にはなりません。
仕組みを分けて見てみましょう。「光栄」は名誉に思うことを表す言葉で、それ自体は敬語ではありません。そこに付く「思います」は、「思う」を丁寧にした丁寧語です。尊敬語や謙譲語は入っておらず、丁寧な言葉づかいで自分の気持ちを述べているという形になります。
「大変光栄に思います」「誠に光栄に思います」のように、前に言葉を足しても大丈夫です。「大変」や「誠に」は程度を表す言葉で、敬語ではないため、二重敬語にはなりません。二重敬語とは、「おっしゃられる」のように、同じ種類の敬語を重ねてしまうことを指します。
「とても光栄に思います」も使えますが、「とても」はやや話し言葉に近い響きがあります。メールや書面では、「大変」や「誠に」を選ぶと、きちんとした印象になります。
「光栄です」「光栄に存じます」との違い|相手別の使い分け
「光栄」を使った言い方は、語尾によって、あらたまり具合が少しずつ変わります。相手との距離に合わせて選べるよう、整理してみました。
| 表現 | 言葉の仕組み | 使いやすい相手・場面 |
|---|---|---|
| 光栄です | 「です」で丁寧にした形 | 同僚や先輩、日ごろから話しやすい上司 |
| 光栄に思います | 「思います」の丁寧語 | 上司や取引先。口頭にもメールにも |
| 光栄に存じます | 「存じます」は「思う」の謙譲語 | 役員や大切なお客様、改まったメール |
| 光栄でございます | 「ございます」でさらに丁寧にした形 | 式典やあいさつ状など、特にかしこまる場面 |
謙譲語は、自分の側をへりくだって、相手を立てる言い方です。「存じます」が入ると、「光栄に思います」よりも一段あらたまった印象になります。
日常のやりとりなら、「光栄に思います」で十分です。いつもより相手の立場が高いとき、書面で正式にお礼を伝えるときに、「光栄に存じます」へ切り替えるイメージで選んでみてください。
「光栄に思います」の言い換え|気持ち別に選べる表現
「光栄に思います」が続くと、同じ言葉ばかりで単調になってしまいます。そんなときは、伝えたい気持ちに合わせて言い換えてみましょう。
| 伝えたい気持ち | 言い換えの例 | ひとこと |
|---|---|---|
| 名誉と喜びを強く伝えたい | 光栄の至りです/身に余る光栄です | 「身に余る」は、自分にはもったいないほどという意味 |
| 喜びを控えめに伝えたい | 嬉しく存じます/嬉しく思います | 「光栄」より少しやわらかい印象 |
| 照れくささや申し訳なさもある | 恐縮です/恐れ入ります | 喜びよりも、謙遜の気持ちが前に出る |
| 感謝を重く伝えたい | ありがたく存じます/幸甚に存じます | 「幸甚」はかなり硬い言葉で、メールや書面向き |
表のほかにも、名誉に思う気持ちを前に出したいときは「名誉に思います」も使えます。評価されたことの大きさを、はっきり伝えたいときにぴったりです。
褒められたときの返事としては、「身に余るお言葉」や「もったいないお言葉」もよく使われます。それぞれの使い方は、「身に余るお言葉」の解説と「もったいないお言葉」の解説にまとめています。
「光栄に思います」を使わないほうがいい場面
「光栄に思います」は便利な言葉ですが、場面によっては合わないことがあります。気をつけておきたいのは、次の3つです。
部下や後輩など、目下の人に褒められたとき
「光栄」は相手を立てる気持ちが入る言葉なので、目下の人に使うと不自然に聞こえます。「ありがとう」と素直にお礼を言うか、「みんなのおかげだよ」と相手の力にも触れるのがおすすめです。
ささいなことで何度も使うとき
少し褒められるたびに「光栄に思います」と返すと、大げさで、へりくだりすぎる人という印象になりかねません。軽い場面では「ありがとうございます」で十分です。
ふつうの顔合わせで「お会いできて光栄」と言うとき
「お会いできて光栄に思います」は、会えたこと自体が名誉に感じられる相手に使う言葉です。取引先の担当者や部長に会うたびに使うと、少し大げさに聞こえます。ふつうの顔合わせなら「お会いできてうれしいです」で十分です。
まとめ
「光栄に思います」は、名誉に思う気持ちを控えめに伝える丁寧語です。相手との距離に合わせて「光栄です」「光栄に存じます」を選べば、場面に合った印象で伝えられます。
一方で、目下の人に使ったり、ささいなことで何度も使ったりすると、大げさに聞こえてしまいます。言い換え表現も上手に取り入れながら、場面にぴったりの一言で、あなたの気持ちを届けてくださいね。

