
「見送らせていただきます」は、仕事の依頼や誘いを断るときによく使う表現です。でも、いざ使おうとすると「目上の人に失礼じゃないかな?」「”見送りさせていただきます”って書いてしまったけど、これで合ってる?」と不安になることはありませんか。
この記事では、「見送らせていただきます」の意味やニュアンス、よくある誤用、シーン別の使い方と例文まで、まとめて解説します。断りのメールをスムーズに書きたいときに、ぜひ役立ててください。
「見送らせていただきます」の意味とニュアンス
「見送らせていただきます」は、相手からの依頼・提案・誘いなどを「今回は差し控えます」と丁寧に伝える謙譲表現です。
ポイントは、ただ「断る」よりも少し柔らかいニュアンスがあること。「見送る」という言葉には「今はやり過ごすが、将来の可能性は残す」というニュアンスが含まれています。そのため、「お断りします」と言い切るよりも角が立ちにくく、今後の関係を続けたい相手への断りに向いています。
似た言葉に「辞退させていただきます」がありますが、こちらは「権利や申し出を返上する」という意味合いが強く、より明確な断りの表現です。採用候補や推薦などを断る場面では「辞退」、提案や誘いをやんわり断る場面では「見送り」と使い分けると自然です。
- 見送らせていただきます → 今回は差し控えます(将来の可能性を残した柔らかい断り)
- 辞退させていただきます → 申し出を返上します(明確な断り・辞退)
「断り方が冷たくなってしまう」と感じたときは、「見送らせていただきます」を選ぶと相手への印象がやわらかくなります。
「見送りさせていただきます」は間違い?よくある誤用に注意
「見送らせていただきます」を使うとき、実はよくある誤用が2つあります。メールを書く前に確認しておきましょう。
① 「見送りさせていただきます」はさ入れ言葉
「見送りさせていただきます」と書いてしまう方は多いのですが、これは誤りです。「見送る」は五段活用の動詞なので、「させていただく」をつなげるときは「見送ら+せていただく」が正しい形になります。「見送り+させていただく」と間に「り」を入れてしまうのは、いわゆるさ入れ言葉と呼ばれる誤用です。
- ❌ 見送りさせていただきます
- ✅ 見送らせていただきます
② 「お見送りさせていただきます」は意味が変わってしまう
「より丁寧にしよう」と思って「お見送りさせていただきます」とするのも誤りです。「お見送りする」は「人を見送る」という意味の謙譲語になってしまうため、「お断りする」の意味では使えません。取引先への断りメールで使うと、意図しない意味に受け取られる可能性があります。
- ❌ 今回はお見送りさせていただきます(→「あなたを見送ります」の意味になってしまう)
- ✅ 今回は見送らせていただきます
断りのメールほど言葉選びが大切です。送る前にさっと確認する習慣をつけておくと安心です。
目上・上司・取引先に使っても失礼にならない?
結論からいうと、「見送らせていただきます」は正しい敬語表現なので、上司や取引先など目上の方に使っても問題ありません。
ただし、「見送らせていただきます」だけで終わらせると、相手に冷たい印象を与えてしまうことがあります。断ること自体はこちらの都合によるものなので、一言添えるだけで受け取る側の印象がかなり変わります。
一緒に使いたいのがクッション言葉です。いくつか例を挙げます。
- 誠に恐縮ではございますが
- 大変申し訳ございませんが
- せっかくのご提案ではございますが
- 検討いたしましたが、あいにく
これらを「見送らせていただきます」の前に置くだけで、同じ断りでも印象がぐっとやわらかくなります。
また、断る理由を簡単に添えたり、「またの機会にぜひ」と今後への配慮を一文加えたりすると、相手との関係を損ないにくくなります。特に継続的な取引がある相手や、今後もお付き合いを続けたい相手への断りには意識しておきたいポイントです。
シーン別の使い方と例文
「見送らせていただきます」は断りの場面で幅広く使えますが、シーンによって前後の言葉が変わります。代表的な4つの場面を例文つきで紹介します。
取引・提案を断る場合
取引先からの提案や見積もりを断るときは、検討したことへの感謝と、断る理由をひとこと添えると誠実な印象になります。
この度はご提案いただきありがとうございました。社内で検討いたしましたが、現時点では予算の都合がつかず、今回は見送らせていただきます。またの機会にぜひよろしくお願いいたします。
採用・応募結果を伝える場合
採用側から応募者に結果を伝える場面でもよく使われます。
このたびはご応募いただきありがとうございました。慎重に選考いたしましたが、誠に残念ながら今回は採用を見送らせていただくこととなりました。ご了承いただけますようお願い申し上げます。
飲み会・社内イベントの参加を断る場合
上司からの誘いなど、社内での断りにも使えます。
お誘いいただきありがとうございます。あいにく先約があり、今回は参加を見送らせていただきます。またの機会にぜひご一緒させてください。
メルカリなどフリマアプリで購入を断る場合
ビジネス以外でも、丁寧な断りが求められる場面で使われます。
ご提案いただきありがとうございます。検討いたしましたが、今回は見送らせていただきます。またご縁がありましたらよろしくお願いします。
「見送らせていただきます」の言い換え表現
断りの場面で使える言い換え表現をいくつか紹介します。シーンや相手との関係によって使い分けると、より自然な表現になります。
遠慮させていただきます
「見送る」よりも明確に断るニュアンスがあります。飲み会や社内イベントの誘いを断る場面でよく使われます。将来の可能性をあまり残さない、はっきりした断りをしたいときに向いています。
辞退させていただきます
コンペへの参加や採用候補などを断る際に使います。「権利や申し出を返上する」という意味合いが強いので、ビジネスの選考・推薦・受賞などフォーマルな場面に適しています。
差し控えさせていただきます
やや格式のある表現で、書面や改まった席での断りに向いています。「見送る」よりも少し硬い印象になります。
今回は見合わせることといたします
社内文書や稟議・報告書など、書き言葉寄りの場面で使いやすい表現です。「見送る」と似たニュアンスで、一時的な保留感があります。
それぞれの使いどころをまとめると、次のようになります。
- やんわり断りたい → 見送らせていただきます
- はっきり断りたい → 遠慮させていただきます
- 選考・推薦を断る → 辞退させていただきます
- 改まった書面で断る → 差し控えさせていただきます
まとめ
「見送らせていただきます」は、目上の方や取引先への断りにも使える正しい敬語表現です。ただし、使うときは次の点を押さえておきましょう。
- 「見送りさせていただきます」「お見送りさせていただきます」は誤用なので注意
- 単独で使うと冷たい印象になるため、クッション言葉や断る理由を添える
- 「辞退」「遠慮」など、シーンに合わせた言い換え表現も活用する
断りの言葉は、伝え方ひとつで相手との関係に影響します。「見送らせていただきます」を上手に使って、角の立たないスマートな断りができるようになりましょう。

