保育園の入園申し込みで、
「入園希望理由」という欄の書き方に迷う方はとても多いです。
どんな言葉を選べばいいのか、
どこまで書けばいいのか……初めての方ならなおさら不安になりますよね。
実はこの欄は、熱意をアピールするためのものではなく、
“家庭で保育がむずかしい理由を伝えるためのもの” なんです。
たとえば共働きや育休明け、家族の介護など、
家庭の状況をできるだけ具体的に伝えることが大切になります。
このページでは、
そんな「入園希望理由」の書き方の基本と、
すぐに使える例文を状況別（共働き・育休明け・家庭の事情など）にまとめています。
文章が苦手な方でも、書き方の流れがつかめるように
やさしく解説していますので、安心して読み進めてくださいね。
保育園入園希望理由を考える前に知っておくべきこと
入園希望理由を書く前に、まずは
「そもそも何のためにこの欄があるのか」を知っておくと安心です。
この項目は、「どんな家庭が保育を必要としているか」を
自治体が判断するための大切な情報になります。
つまり、“点数を上げるための作文”ではなく、
今の生活状況を正直に伝えることがいちばん大切なんです。
保育を必要とする理由とは？
多くの自治体では、次のような場合に
「家庭での保育が難しい」と判断されます。
-
父母ともに働いている（共働き）
-
育児休業から復職予定がある
-
病気や介護などで家庭での保育が困難
-
出産予定や求職中で一時的に保育が必要
こうした理由は「保育を必要とする事由」と呼ばれ、
自治体ごとに点数化（＝指数）されることもあります。
ただし、難しく考えなくても大丈夫。
自分の家庭ではなぜ日中に子どもを見られないのかを、
そのまま丁寧に書けば十分です。
共働き家庭における保育園の重要性
共働き家庭では、仕事中に子どもを見てもらう環境が欠かせません。
とくに勤務時間や通勤時間が長い場合、
家庭で保育するのは現実的にむずかしいですよね。
そのため、入園希望理由を書くときには
「勤務時間」や「勤務形態」を簡単に添えると、
状況が伝わりやすくなります。
例：夫婦ともにフルタイム勤務のため、平日日中は家庭での保育が困難です。
このように、具体的な生活リズムを伝えることがポイントです。
自宅からのアクセス・送迎のしやすさも理由になる？
「家から近いから入園したい」という理由は、
残念ながらそのままでは評価の対象になりません。
でも、「送迎にかかる時間が短く、保育後の生活リズムを整えやすい」
といったように、家庭の負担を減らすためという形で書けば自然です。
例：勤務先からの帰宅途中にあるため、送迎がしやすく通園が安定します。
表現の仕方を少し変えるだけで、伝わり方がやさしくなります。
教育方針や環境を重視する場合の書き方
園の方針や教育内容に共感している場合は、
希望理由の中で軽く触れるのもOKです。
例：園の「遊びを通して学ぶ」方針に共感し、子どもの成長を支えたいと感じています。
ただし、「人気がある」「口コミが良い」といった理由は避け、
自分の家庭と合っているかどうかの視点で書くと印象が良くなります。
この段階までで、
「入園希望理由」を書く目的と、表現の方向性がしっかりつかめます。
次は、実際にどんな言葉で書けばいいのか――
状況別の具体的な例文を紹介していきましょう。
状況別に使える！具体的な希望理由の例文集
ここからは、実際に使える「入園希望理由」の例文を紹介します。
どのパターンも100〜150文字ほどでまとめてあり、
そのまま申請書に書ける内容になっています。
「自分の家庭の状況に近いもの」を探して、
少し言葉を変えながら使ってみてくださいね。
まずは、最も多い「共働き家庭」のケースから見ていきましょう。
共働き家庭の例文
例文①（フルタイム勤務の場合）
夫婦ともにフルタイムで勤務しており、日中は家庭で保育を行うことができません。子どもが安心して過ごせる環境を求め、入園を希望いたします。
例文②（時短勤務の場合）
現在、夫婦ともに勤務を続けており、私（母）は時短勤務中です。勤務中は家庭での保育が難しく、日中の保育をお願いしたく入園を希望いたします。
ワンポイント解説
共働き家庭では「勤務時間」や「両親ともに働いている」ことを明記しましょう。
あまり堅苦しく書かなくても大丈夫です。
事実をそのまま、やさしい言葉で伝えるだけで十分です。
次は、育休明けや復職予定のご家庭のケースです。
育休明け・復職予定の例文
例文①（復職日が決まっている場合）
現在育児休業中ですが、○年○月より職場復帰を予定しています。復職後は日中の保育が難しくなるため、入園を希望いたします。
例文②（復職時期を調整中の場合）
育児休業から早めに復職を予定しており、家庭での保育が難しくなる見込みです。子どもが安心して過ごせる環境を求め、入園を希望いたします。
ワンポイント解説
復職予定日が決まっている場合は、日付を入れると信頼感が増します。
まだ調整中でも、「復職を予定している」という意志が伝わればOKです。
夜勤や交代制勤務など、不規則な働き方の方はこちら。
夜勤・シフト勤務の場合
例文①（交代制勤務の場合）
夫婦ともに交代制勤務で、昼夜問わず勤務があります。家庭での保育が不規則になるため、日中の保育をお願いしたく入園を希望いたします。
例文②（夜勤が多い場合）
夜勤が多く、家庭での生活リズムが安定しづらい状況です。子どもが規則正しい生活を送れるよう、保育園での保育を希望いたします。
ワンポイント解説
夜勤・シフト勤務は、自治体でも「家庭での保育が困難」と判断されやすい項目です。
勤務の不規則さを具体的に書くことで、状況がより伝わりやすくなります。
続いて、家庭の事情（介護・病気・祖父母支援など）での例です。
家庭の事情（病気・介護・祖父母支援など）
例文①（家族の介護がある場合）
同居の親の介護を行っており、日中に子どもを十分に見ることができません。家庭での保育が難しいため、入園を希望いたします。
例文②（病気や通院がある場合）
持病の治療のため定期的に通院しており、家庭での保育が難しい日があります。子どもの成長と安心を考え、入園を希望いたします。
ワンポイント解説
病気や介護などの事情を書くときは、「できない理由」だけでなく「子どもを安心させたい」という前向きな気持ちを添えると印象がやわらかくなります。
ひとり親家庭の方はこちらを参考にしてください。
ひとり親家庭の場合
例文①（母子家庭の場合）
母子家庭のため、就労中は家庭で保育を行うことができません。仕事と子育てを両立するため、入園を希望いたします。
例文②（父子家庭の場合）
父子家庭であり、勤務時間中に家庭で保育を行うことが難しいため、入園を希望いたします。安定した環境で子どもを育てたいと考えています。
ワンポイント解説
「一人で育児をしている」ことを正直に伝えることが大切です。
短くても、しっかりと家庭の状況が伝われば十分です。
最後に、兄弟が通う園を希望する場合の書き方です。
兄弟が通う保育園を希望する場合
例文①
兄（姉）が現在○○保育園に在園しており、送迎や家庭生活のリズムを考えて、同じ園での保育を希望しております。
例文②
兄（姉）と同じ環境で過ごすことで、家庭内でのサポートがしやすく、子どもにも安心感があると考えています。そのため、同園への入園を希望いたします。
ワンポイント解説
「通いやすさ」や「家庭の一貫性」を理由に書くと、
「家が近いから」と書くよりも印象が良くなります。
どの例文にも共通して言えることは、
「家庭で保育が難しい理由を、やさしく具体的に書く」ということ。
立派な文章でなくても、
読み手に誠実さが伝わることがいちばん大切です。
入園希望理由の書き方のコツ
ここまで読んで、「どの例文を使えばいいか」はなんとなくイメージできたと思います。
でも、いざ自分で書こうとすると、
「どんな順番で書けばいいの？」「どれくらいの長さがいいの？」と迷いますよね。
ここでは、読み手に伝わりやすい入園希望理由の書き方のコツをまとめました。
ちょっとしたポイントを意識するだけで、ぐっと印象が良くなりますよ。
具体性と簡潔さがポイント
入園希望理由は、長く書けば良いというものではありません。
むしろ、100〜150文字ほどで簡潔にまとめるほうが伝わりやすいです。
書くときの基本は、次の3つです。
-
誰が（例：父母ともに）
-
どんな状況で（例：勤務時間中は）
-
なぜ家庭で保育できないのか（例：日中は子どもを見られないため）
この3つを入れれば、自然とバランスの良い文になります。
例：夫婦ともにフルタイム勤務のため、平日日中は家庭での保育が難しく、入園を希望いたします。
難しい言葉を使う必要はありません。
短くても、きちんと生活の様子が伝われば十分です。
自己PRではなく「家庭状況の説明」を意識する
入園希望理由を書くとき、つい
「この園に入りたい！」「教育方針に共感しました！」と
熱意を書きたくなる方も多いと思います。
でも、自治体が見たいのは“家庭の状況”です。
どんな事情で家庭での保育が難しいのかを伝えることが目的なので、
「家庭で保育できない理由」を中心に書くのが正解です。
もちろん、園への共感や教育方針に触れるのは悪いことではありません。
ただし、「あくまで補足的に」書くのがおすすめです。
良い例・悪い例で比べてみよう
実際に、良い例と悪い例を並べてみると違いがわかりやすいです。
| 良い例 | 悪い例 |
|---|---|
| 夫婦ともにフルタイム勤務のため、平日日中は家庭での保育が難しく、入園を希望いたします。 | 家が近いので通いやすく、評判が良いと聞いたので入園したいです。 |
| 現在育児休業中ですが、○月より復職予定のため、日中の保育をお願いしたく入園を希望いたします。 | 園の雰囲気が良さそうだから入園したいです。 |
悪い例は、「家庭の事情」が伝わらず、
単なる“希望動機”に見えてしまいます。
一方、良い例は状況が具体的で、
読んだ人が「なるほど、この家庭は保育が必要なんだ」と理解しやすいです。
読み手への気遣いも忘れずに
最後にもうひとつ大切なのは、「伝わるやさしさ」です。
書類を読むのは同じ人間ですから、
丁寧な言葉づかいを意識するだけで印象が変わります。
「お願いします」「ご配慮いただけますと幸いです」など、
やわらかい言葉で締めると自然で感じの良い文章になります。
例：家庭での保育が難しい状況のため、ご配慮いただけますと幸いです。
ここまでで、書くときの基本ポイントはバッチリです。
次は、「面接で聞かれたときの答え方」について、
簡単にお伝えしますね。
面接で聞かれたときの答え方
入園希望理由は、書類だけでなく
面接のときにも聞かれることがあります。
といっても、特別に立派な答えを用意する必要はありません。
書いた内容と同じことを、自分の言葉で落ち着いて伝えるだけで大丈夫です。
ここでは、面接でよくある質問と答え方のポイントを紹介します。
よくある質問の例
面接では、こんな質問をされることがあります。
-
「なぜ当園を希望されましたか？」
-
「お仕事はどのような勤務形態ですか？」
-
「ご家庭での保育状況を教えてください」
どの質問も、家庭の状況を確認するためのものです。
緊張して言葉が詰まっても、誠実に答えようとする姿勢が伝われば十分ですよ。
答えるときのポイント
-
書類と同じ内容を一貫して伝える
→ 面接官が「書類と話に違いがないか」を確認することもあるため、
同じ流れで話すと安心感があります。 -
短く、わかりやすく話す
→ 「夫婦ともにフルタイム勤務のため、日中の保育が難しい状況です。」
このくらい簡潔で問題ありません。 -
前向きな気持ちを添える
→ 「子どもが集団生活を通して成長できる環境を楽しみにしています。」
など、明るい一言を加えると印象がやわらかくなります。
NGな答え方の例
-
「家が近いから」「人気があるから」だけを理由にする
-
嘘をついたり、勤務内容を盛る
-
他の園の批判をする
どれもマイナスな印象を与えてしまうので避けましょう。
面接は「選考の場」というより、園と家庭の理解を深める場です。
どうしても緊張してしまうときは
面接だからといって、完璧に話そうとしなくても大丈夫。
たとえば、「少し緊張していますが、よろしくお願いします」と
素直に伝えるだけでも印象は良くなります。
相手も親の立場を理解しているので、
丁寧な態度と誠実さがあれば、しっかり気持ちは伝わりますよ。
よくある質問（FAQ）
入園希望理由については、
多くの方が同じような疑問を持っています。
ここでは、特によく聞かれる質問をまとめました。
細かいことでも、気になっていることがあれば確認しておきましょう。
Q1. どれくらいの文字数で書けばいいですか？
だいたい 100〜150文字程度 が目安です。
長く書くよりも、
「誰が」「どんな状況で」「なぜ家庭で保育できないのか」を
はっきり伝えることが大切です。
短くても内容がわかりやすければ、印象はしっかり残ります。
Q2. 同じ内容を複数の保育園に出しても大丈夫？
はい、基本的には問題ありません。
ただし、もし園ごとに特色（延長保育・教育方針など）がある場合は、
1〜2行だけ調整するとより自然です。
例：勤務時間が遅いため、延長保育のあるこちらの園を希望しております。
Q3. 嘘を書いたらバレますか？
はい、書類の内容は勤務証明書や勤務時間などで確認されることがあります。
もし事実と異なる内容を書いてしまうと、
信頼を失うことにもつながりかねません。
正直に、ありのままの状況を書くことがいちばんの安心材料です。
Q4. 「家から近い」「人気がある」などの理由は書いてもいい？
そのままの言葉ではおすすめできません。
ただし、
「送迎しやすく、生活リズムを整えやすい」
「家庭の負担を減らせる」
といったように、家庭の事情として言い換えるのはOKです。
ほんの少し表現を変えるだけで、伝わり方がやさしくなりますよ。
Q5. 教育方針や園の雰囲気を理由にしてもいい？
もちろん大丈夫です。
ただし、書きすぎると“志望動機”のように見えてしまうこともあります。
「保育が必要な理由」を中心に、
その補足として教育方針への共感を添える程度がちょうど良いです。
例：共働きで日中の保育が難しいため入園を希望しています。園の自然を活かした保育方針にも共感しています。
Q6. 面接でうまく話せないときはどうすればいい？
書類と同じ内容を、
落ち着いてそのまま話すだけで大丈夫です。
「緊張していますが、よろしくお願いします」と
素直に伝えるだけでも印象は良くなります。
完璧を目指すより、誠実に伝えることを意識しましょう。
このような疑問を解消しておくと、
安心して入園申請の準備が進められます。
まとめ｜誠実さと具体性が伝わる書き方を意識しよう
入園希望理由は、「上手に書くこと」よりも、
誠実に伝えることがいちばん大切です。
どんなに短い文章でも、
読む人に「このご家庭は本当に保育を必要としているんだな」と感じてもらえれば十分。
きれいな言葉よりも、具体的でわかりやすい内容が心に残ります。
文章を書くときの3つのポイント
-
事実を正直に書くこと
→ 嘘や誇張はせず、ありのままの状況を伝える。 -
家庭の事情を具体的に書くこと
→ 「勤務時間」「通勤距離」「家族構成」などを簡潔に。 -
やわらかい言葉でまとめること
→ 「お願いします」「ご配慮いただけますと幸いです」など、丁寧な表現で締める。
これだけ意識すれば、伝わりやすく安心感のある文章になります。
最後に
入園希望理由は、家庭の事情を伝えるだけでなく、
子どもの生活を支える第一歩でもあります。
頑張って書いた言葉のひとつひとつが、
お子さんの新しい環境への準備につながります。
少しずつ書き進めながら、
「自分の言葉で伝える」ことを大切にしてくださいね。
きっとあなたの思いは、読む人にしっかり届くはずです。
