
取引先の担当者さんや上司、同僚のご家族が病気だと知ったとき、「何と声をかければいいのだろう」と手が止まってしまったことはありませんか。
心配する気持ちは本物なのに、言葉選びを間違えてかえって相手の負担になってしまったらと思うと、なかなか送信ボタンが押せないものです。
実は、ご家族が病気の相手にかける言葉には、ご本人へのお見舞いとは少し違う押さえどころがあります。この記事では、ビジネスの場面で失礼にならない言葉の選び方と、そのまま使えるメール例文をご紹介します。
家族が病気の人にかける基本の言葉と「お大事に」の使い方
ご家族が病気の相手にかける言葉は、「ご家族の回復を願う」「相手の心配を気遣う」「相手自身の体調を気遣う」の3つを押さえておくと、迷わず選べます。
| 伝えたいこと | 言葉の例 |
|---|---|
| ご家族の回復を願う | 「ご家族の一日も早いご回復をお祈り申し上げます」 |
| 相手の心配を気遣う | 「ご心労も多いことと存じます」 |
| 相手自身の体調を気遣う | 「どうぞご自身もご無理をなさらないでください」 |
ここで迷いやすいのが「お大事に」です。この言葉は、病気やけがをしている本人にかけるものなので、ご家族が病気の相手にそのまま言うと、相手自身が体調を崩しているように聞こえてしまいます。ですので、相手本人には「お大事に」を使わず、「ご家族の」と主語を添えた言い方にするのがおすすめです。
どうしても「お大事に」を使いたいときは、「ご家族様にもお大事にとお伝えください」のように、ご家族に向けた言葉として添えると自然に伝わります。
【相手別】ビジネスメール例文(取引先・上司・同僚)
お見舞いメールは、件名を「お見舞い申し上げます」にして、本文は短くまとめるのが基本です。時候のあいさつは省き、驚き・心配、回復を祈る言葉、仕事のフォローの順に書くと、読みやすくなります。とくに最後の「仕事は気にしなくて大丈夫」という一言があると、相手の気持ちがぐっと楽になります。
取引先の場合
件名:お見舞い申し上げます(株式会社〇〇 山田)
株式会社△△
鈴木様いつもお世話になっております。株式会社〇〇の山田です。
ご家族の方がご入院なさったと伺い、大変驚いております。ご心労も多いことと存じます。
業務の件はこちらで調整いたしますので、どうぞお気遣いなさらないでください。ご家族の一日も早いご回復を、心よりお祈り申し上げます。
上司の場合
件名:お見舞い申し上げます(山田)
〇〇部長
お疲れさまです。山田です。ご家族の方がご入院なさったと伺い、心配しております。ご家族のことでご心配が尽きないことと存じます。
業務はチームで分担して進めておりますので、どうぞお気になさらないでください。私にお手伝いできることがありましたら、いつでもお申し付けください。
同僚の場合
件名:お見舞い申し上げます(山田)
〇〇さん
お疲れさまです。山田です。ご家族が入院されたと聞きました。〇〇さんも大変な時期だと思います。仕事のことは気にしなくて大丈夫です。手伝えることがあれば、遠慮なく声をかけてくださいね。
LINEや口頭で一言かけるときの言い方
LINEは、普段からLINEでやり取りしている同僚や親しい相手に限って使うのが無難です。取引先や、日ごろLINEを使わない上司には、メールで送るほうが安心です。
LINEでは長い文章よりも、一言と気遣いだけの短い文面にするほうが、相手が読みやすく、負担にもなりません。
LINEの例
〇〇さん、ご家族のこと聞きました。心配しています。〇〇さんの体調も気になるので、無理しすぎないでくださいね。
口頭の場合は、顔を合わせたときにさりげなく一言添えるくらいがちょうどよいです。立ち話で長く話し込むと、相手が気を遣ってしまうことがあります。
口頭の例
ご家族のこと、聞きました。何かあれば、いつでも声をかけてくださいね。
避けたい言葉・NG表現
悪気がなくても、励ますつもりの一言が、相手にはプレッシャーになることがあります。ご家族のことで気持ちに余裕がない相手には、次のような言葉は避けておくと安心です。
| 避けたい言葉 | 理由 | 言い換え例 |
|---|---|---|
| 「頑張ってください」 | すでに頑張っている相手には、負担に聞こえやすい | 「ご無理のないようになさってください」 |
| 「早く戻ってきてくださいね」 | 仕事を急かすように受け取られる | 「どうぞご家族を第一にお考えください」 |
| 「きっと大丈夫ですよ」 | 根拠のない励ましは、軽く聞こえてしまう | 「ご心配のことと存じます」 |
| 「どこがお悪いのですか」 | 病名や病状を詮索する形になる | 病状には触れず、気遣いの言葉だけを伝える |
また、「うちの母も同じでした」のように自分の体験を重ねる言い方も、相手の状況とは違うことが多いため、控えたほうが無難です。
送る前に押さえたいタイミングと配慮
タイミングは、ご家族のことを知ったら、できるだけ早めに送るのが基本です。ただし、人づてに聞いただけで、相手から直接知らされていない場合は、まず様子を見るほうが安心です。何度も送ると返信の負担が増えてしまうため、送るのは一度きりにしましょう。
次に大切なのが、返信の負担を減らす一言です。メールの最後に「ご返信は不要ですので、どうぞお気遣いなさらないでください」と添えるだけで、相手は返事を考えずにすみます。同僚には「返信は気にしないでね」くらいの軽さで十分です。
そして、仕事の連絡にも気配りが必要です。お見舞いのメールに確認や催促が混ざると、気遣いの気持ちが薄れてしまいます。どうしても必要な用件は、お見舞いとは別のメールに分けて、短くまとめて送りましょう。
まとめ
ご家族が病気の相手にかける言葉は、ご家族の回復を願い、相手の心労をいたわることが土台になります。長く書こうとせず、短くあたたかい一言を届けるだけで、気持ちは十分に伝わります。
言葉選びに迷ったときは、「自分が相手の立場なら、どんな言葉をもらうと心が軽くなるか」を思い浮かべてみてください。その気持ちを込めて書いた言葉は、きちんと相手に届きます。

