「拝辞」とは?意味・読み方・使い方をビジネス例文つきで解説

広告

「拝辞」という言葉、ビジネスの場で見かけたり耳にしたりすることがあっても、「正確な意味は?」「自分でも使っていいの?」と迷っている方は多いのではないでしょうか。

「拝辞」には実は2つの意味があり、使う場面によって内容が変わります。この記事では、読み方と意味の基本から、そのまま使えるビジネスメールの例文、似た表現との違いまでまとめて解説します。

「拝辞」の読み方と2つの意味

「拝辞」の読み方ははいじです。

「拝」という字には「うやうやしく敬う」、「辞」には「その場を去る」「断る」という意味があります。この2つが組み合わさって、「拝辞」は謙譲語として使われる言葉になります。

そして「拝辞」には、次の2つの意味があります。

① その場を辞去することをへりくだっていう語

訪問先や式典など、ある場所から立ち去るときに使います。「御前を拝辞する」「会場を拝辞いたします」のように、その場を丁重に辞する際の表現です。

② 辞退することをへりくだっていう語

依頼や申し出、指名などを丁重に断るときに使います。「内定を拝辞いたします」「せっかくのご指名ですが拝辞いたします」のように、断りの言葉をよりかしこまった形で伝えたいときの表現です。

ビジネスの場では②の「辞退」の意味で使われることがほとんどです。

ビジネスでよく使う「辞退」の意味での使い方と例文

ビジネスシーンで「拝辞」が登場するのは、ほぼこちらの意味です。内定・役職・指名・推薦など、相手からの申し出をやむを得ず断らなければならない場面で使います。「辞退します」よりもかしこまった響きがあり、相手への敬意を保ちながら断りの意思を伝えられるのが特徴です。

よく使われる表現の形は以下の2つです。

拝辞いたします

もっとも一般的な形。社内・社外を問わず使いやすく、メールでも口頭でも自然に使えます。

拝辞申し上げます

「いたします」よりさらにかしこまった表現。取引先や目上の方への文書など、特に丁寧さを求められる場面に向いています。

実際のメール・文書で使える例文を紹介します。

大変恐縮ではございますが、このたびのご内定につきましては拝辞いたします。

せっかくのご指名をいただきながら、誠に恐れ入りますが拝辞申し上げます。

ご推薦いただきましたことは大変光栄に存じますが、諸般の事情により拝辞いたします。

今回の役職のご打診につきましては、誠に申し訳ございませんが拝辞いたします。

いずれも、断る理由を詳しく述べる前の一文として使えます。理由や今後のフォローは、この一文のあとに続けて書くと自然な流れになります。

「拝辞させていただく」は正しい?

「拝辞させていただきます」という表現、使ってみたいけれど正しいのか気になる方もいるかもしれません。

結論から言うと、日常のビジネス使用では許容される表現です。

厳密に見ると、「拝辞」自体がすでに謙譲語であるため、そこにさらに「させていただく」を重ねると二重敬語になるという指摘があります。文法的には「拝辞いたします」のほうがすっきりしています。

ただし、「させていただく」はビジネス敬語として広く定着しており、現実の会話やメールでは違和感なく受け入れられています。文化庁の調査でも、「させていただく」の使用は社会的に許容が広がっているとされています。

気になる場合は、より自然な以下の表現に言い換えるとよいでしょう。

拝辞いたします。

拝辞申し上げます。

どちらも意味は同じで、すっきりとした印象を与えます。「拝辞させていただきます」を使っても失礼にはなりませんが、迷ったときは「拝辞いたします」を基本形として覚えておくと安心です。

「辞去」の意味での使い方と例文

訪問先や式典・会合などの場を丁重に後にするときにも「拝辞」は使えます。ただし、この意味で使われる機会は「辞退」の意味と比べるとかなり少なく、日常のビジネスメールではほとんど登場しません。改まった場や格式のある文書で使われることが多い表現です。

例文を見てみましょう。

本日はお時間をいただきありがとうございました。これにて拝辞いたします。

式典も滞りなく終了いたしましたので、失礼ながらここで拝辞申し上げます。

ご歓談の途中ではございますが、先約がございますため拝辞いたします。

なお、同じ意味の言葉に「辞去(じきょ)」があります。「辞去する」も「挨拶をしてその場を去る」という意味ですが、「拝辞」のほうが謙譲の度合いが高く、よりかしこまった印象を与えます。日常的なビジネス場面では「お暇いたします」「失礼いたします」で十分なことも多く、「拝辞」はやや格式のある場面に向いた表現と覚えておくとよいでしょう。

「拝辞」の言い換え表現

「拝辞」はかしこまった表現なので、場面によっては別の言葉に言い換えたほうが自然なこともあります。意味別に整理しておきましょう。

「辞退」の意味で使う場合の言い換え

  • 辞退いたします:もっとも一般的で使いやすい表現。幅広い場面に対応できます。
  • 固辞いたします:強く辞退する意思を伝えたいときに。「何度お勧めいただいても固辞いたします」のように使います。
  • お断り申し上げます:やや直接的ですが、丁寧さは十分あります。

「辞去」の意味で使う場合の言い換え

  • 失礼いたします:もっとも使いやすい表現。日常のビジネス場面ではこれで十分です。
  • おいとまいたします:やわらかい表現で、訪問先を辞する際に自然に使えます。
  • これにて失礼いたします:会議や打ち合わせの締めくくりにも使いやすい一言です。

「拝辞」はどちらの意味でも丁寧さの高い表現ですが、日常的なやり取りでは言い換え表現のほうがむしろ自然に伝わる場面も多くあります。相手や状況に合わせて使い分けてみてください。

まとめ

「拝辞」は「はいじ」と読み、辞退するその場を辞去するという2つの意味を持つ謙譲語です。

ビジネスの場では「辞退」の意味で使うことがほとんどで、内定・役職・指名などの申し出を丁重に断る場面で活躍します。基本の形は「拝辞いたします」。迷ったときはこの一文を覚えておけば、幅広い場面に対応できます。

「拝辞させていただきます」は厳密には二重敬語にあたりますが、実用上は許容されています。気になる場合は「拝辞いたします」に言い換えるとすっきりします。

日常のビジネスメールでは「辞退いたします」「失礼いたします」といった言い換えで十分なことも多いので、場面の格式に合わせて使い分けてみてください。

タイトルとURLをコピーしました